こんにちは!札幌高校進学ナビゲーターのさっしんです。今回は工業高校についてお話していきます。
皆さんは工業高校にどのようなイメージをお持ちですか?工業高校とは普通科とは違い、看護科や農業科の高校と同じ専門高校のひとつで、主に工業や産業についての専門技術や知識を習得することを目的とした高校になります。その工業高校へ進学するメリットや就職、大学進学について調査してきました。
工業高校に進学するメリットは?
工業高校にはその高校によって取り扱っている専門学科が変わってきます。工業といっても、さまざまな分野があります。
【工業高校が設置されている主な学科】
分類 | 主な学科 |
機械系 | 機械科 |
電子機械科 | |
自動車科・自動車工学科・自動車整備科 | |
電気・電子・情報技術系 | 電気科・電気工学科・電気通信科 |
電子科・電子情報科 | |
情報技術科・情報科学科・情報通信科 | |
建築・土木系 | 建設科・建設工学科 |
建築科 | |
設備工業科・建築設備科 | |
土木科・都市工学科 | |
科学・材料系 | 工業化学科 |
環境科学科・環境工学科 | |
材料技術科・材料工学科 | |
セラミック科 | |
繊維・インテリア・デザイン系 | 繊維科・紡織科・色染科 |
インテリア科 | |
デザイン科 |
これだけ見てみると、工業高校はかなり幅の広い分野があることがわかります。将来の目的によってはその高校にお目当ての学科があるのかどうかも気になるところですね。
それにしても、工業というと機械科や電気科などはイメージできますが、インテリアやデザインの科まであるなんて意外ですよね。
そんな工業高校にはたくさんのメリットがあります。これからそちらについてお話していきます。
【工業高校メリットその1:手に職がつけられる】
工業高校は専門高校ですので、実習や専門科目など仕事に役に立つ授業がたくさん受けられます。それらの授業を通して専門知識を得ることで、工業高校を卒業するときには技術と知識を習得した専門職になることができます。
先にも述べたように、工業高校には将来性がある学科がたくさんあります。
例えば情報系の学科であればプログラミングを学習することもあります。2020年からは小学校でプログラミングの授業が必修とされるようになると言われています。その理由としては日本では圧倒的にプログラミングエンジニアが不足しているからです。
これから将来性の高いプログラミングにいち早く取り組み社会に出ていくことができます。専門技術を身に着け即戦力として社会で活躍することができるのも工業高校のメリットのひとつです。
【工業科高校メリットその2:資格取得】
手に職がつけられる話の続きにはなりますが、工業高校在籍中にたくさんの資格を取得することができます。
<機械系資格>
- ガス溶接技能者(厚生労働省)
- ボイラー技士(厚生労働省)
- 危険物取扱者(総務省)
- 自動車整備士(国土交通省)
<建築系資格>
- 建築士(国土交通省)
- 宅地建物取引主任者(国土交通省)
- 2級建築施工管理技術検定(国土交通省)
- 建築施工管理技士(国土交通省)
<デザイン系資格>
- カラースキャナー技能士(厚生労働省)
- 写真製版技能士(厚生労働省)
- プロセス製版技能士(厚生労働省)
- インテリアコーディネーター(経済産業省)
- 内装士(日本内装士協会)
工業高校で取得できる資格を一部紹介しました。これだけの数がほんの一部なんですよ。
もちろん普通科高校を卒業する方でも資格を取得することはできます。しかし、その多くは専門学校や大学に進学した後、または社会人になり働きながら勉強するという方もいます。
朝から晩まで必死に働き、家に帰ったあとは資格の勉強。仕事が休みの日にも勉強しなければいけない…なんていう生活は、想像しただけでもかなり大変だろうなということが分かりますよね。
しかし、工業高校に進学すればそのような心配はありません。高校在学中にその資格が取得できるので、他より早くその技術と知識を身に着けられるのです。他が持っていない強みを自分は持っているというのは、かなり就職に有利になりますよ。
これまで、工業高校の良い面をお話してきました。しかし、残念ながらいい面だけではありません。工業高校へ進学するにあたって不利な点、つまりデメリットもあります。そのデメリットの部分をまずは工業高校卒業後の就職のお話と絡めて進めていきます。
工業高校卒業後は就職が多いの?
平成29年3月の高校卒業者の就職状況によると、工業高校の卒業者数は約8万人。そのうち約67%、およそ5万5,000人が就職を希望しています。工業高校は就職を目的にした専門授業が多いということもあり、それを目的に入学する方もほとんどです。
実際に、就職を希望した方のほとんどが就職できています。就職率は99.3%、ほぼ100%です。この就職氷河期と言われた時代にとんでもない就職率です。
それもそのはず、工業高校に来る求人は普通科高校と比べると3倍以上と言われています。その工業高校を卒業し、企業に就職して、まじめに仕事に取り組み実績を上げることで企業もこの高校の生徒はまじめで優秀だと翌年、翌々年にも求人をかけてくるのです。なかには大企業へ就職が決まった方もいます。
「えっ?じゃあ工業高校はいいことばかりなじゃないの?」と思われるかもしれません。確かに工業高校の就職率は高いですが。しかし、あくまでも入るまでの話です。
いくら大企業に就職したからと言って、いい面ばかりとは限りません。
【工業高校のデメリットその1:お給料】
工業高校を卒業し就職するまでは確かに良いのですが、待遇に問題が出てくる場合があります。その一つが給料面です。社会的にはあくまでも高卒者ということになるため、大卒者と比べると基本給設定が低い場合がほとんどです。大学進学を選択し、卒業後に同じ企業に後から就職した後輩よりも基本給が少ないこともあります。
【工業高校のデメリットその2:出世の限界】
給料面だけではありません。高卒者には出世にも制限がかかる場合があります。工業高校の場合では企業によるのでしょうが高卒者は工場長までしか出世できないこともあります。
好きな、もしくは興味がある職に早く就けるということは、いいことばかりではないということがおわかりいただけましたでしょうか。では、工業高校から大学に進学するうえでのデメリットをお伝えしていきます。
大学への進学は普通科より不利になる?
工業高校卒業後に大学進学することは不可能ではありません。実際に進学する方も毎年いらっしゃいます。しかし、それが普通科高校と比べるとハードルが高くなってくるんです。
【工業高校デメリットその3:大学入試試験】
工業高校では普通科高校で学ぶことよりもより専門的な授業を行います。そのため、大学進学に必要な科目(国語・英語・数学・理科・社会)の授業が少なく、自己努力によって大学進学のための学力をつけていく必要があります。推薦入試の場合は面接のみで必要科目を勉強せずに大学へ進学することもできますが、実際に大学に入学した後に学ぶ勉強の基礎となっていることが多いため、いずれにしても勉強は必要です。
【工業高校デメリットその4:方向転換】
工業高校卒業後、別の何かをしてみたくなることもあるかと思いますが、その何かが全く違う分野だとシフトするのが難しい場合があります。例えば工業高校だと工学部のような理系大学には比較的に推薦も取りやすいですし、勉強も似通っている分もあり、取り組みやすいです。しかし、文系の大学に進学したくなった場合には勉強は大変になります。
これまで、工業高校から大学進学までのデメリットをお話してきました。この項目のはじめにも申し上げましたが、工業高校だから大学進学が不可能ということではありません。大学入試には推薦入試もあります。また、学力試験を課さず、高等学校における成績や小論文、面接などで人物を評価し、入学の可否を判断するAO入試(アドミッション・オフィス入試)を取り入れている大学も増えてきました。
しかし、普通科に進学した方も必死に勉強しなければいけないのは同じです。工業高校だから人一倍頑張らなきゃ…というわけではありません。もちろん、自分で勉強し一般の入学試験にて大学に進学することもできます。「努力は必ず実を結ぶ」です。
まとめ
- 工業高校と言っても機械科やデザイン科など幅広い分野があります。
- 工業高校に進学するメリットとして普通科高校では学べない専門分野を勉強することができ、手に職がつけられます。
- 工業高校に進学するもう一つのメリットとして在学中にたくさんの資格を習得することができます。
- 工業高校は就職率がほぼ100%です。しかし、高卒で給料面や出世制限などのデメリットが生じる場合があります。
- 工業高校から大学進学する場合、普通科と比べてハードルが高くなります。しかし、大学進学が不可能なわけではありません。
いかがでしたでしょうか。工業高校に関しておわかりいたけましたか?どんな高校にもメリット・デメリットがあります。しかし、高校においてもですが人生において選択を誤ったからそこでおしまいということはありません。自分で選択したことの中で何をやり遂げるのかが大事なのではないかと思います。たった一度の高校生活を楽しめるものにしていただければ幸いです。ここまで読んでいただきありがとうございました。
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